Treatment 女性の泌尿器科

女性の泌尿器科について

泌尿器科というと男性が行くものという印象が強いかもしれませんが、女性にも腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱など泌尿器科の病気は多くあります。女性の泌尿器科では、より女性に適した形で検査や治療を行っていきます。

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁とは、加齢によって膀胱・子宮・直腸・膣を支えている骨盤底筋や排尿をコントロールしている尿道括約筋などの筋力が衰えたり、出産によってこれらの筋肉にダメージを受けることで、お腹に力が入った時に我慢できず尿が漏れてしまうという症状です。

こんな症状はありませんか?
  • くしゃみやせきをした拍子に尿漏れしてしまう
  • 重いものを持ち上げた際に尿漏れしてしまう

腹圧性尿失禁の治療には、骨盤底筋を強化するトレーニングや干渉低周波を用いた治療、薬物治療などがあります。症状が軽度であれば、およそ3週間ほどの骨盤底筋トレーニングである程度改善が見られます。干渉低周波治療や薬物治療は、骨盤底筋トレーニングの補助として用いられることが多いです。

骨盤臓器脱

骨盤臓器脱とは、子宮、膀胱、直腸などの骨盤内にある臓器が外に出てくる、女性特有の病気です。骨盤内の臓器は靭帯や膜で支えられていますが、この靭帯や膜が加齢によって弱まったり、出産で傷ついてしまうことで骨盤臓器脱が生じてきます。このことから、閉経後の方や出産を多く経験された方がなりやすいと言われています。便秘での強いいきみや、喘息や花粉症などでの咳が原因で発症する場合もあります。

こんな症状はありませんか?
  • 陰部にピンポン球のようなものが触れる
  • 何か挟まっている感じがする

治療としては、骨盤底筋トレーニングや手術などがあります。症状が軽症のうちはお腹に力が入ったときに飛び出す程度です。しかし、重症になると飛び出したままになり、歩きにくかったり下着に擦れて出血したりすることもあります。発症率の高い病気ですがあまり認知されておらず、誰かに相談するのにも抵抗があり我慢されている方が多いようです。自然に治ることのない病気ですので、気になる症状が見られる方はぜひ一度ご相談ください。

急性膀胱炎

雑菌が尿道から膀胱に侵入し、膀胱内に定着してしまうことで起こります。菌の種類は大腸菌・腸球菌・ブドウ球菌など、よくある一般的な細菌がほとんどです。特に女性に多い理由は尿道から膀胱までの距離が短いためで、一度急性膀胱炎になるとクセがついてしまう方も少なくありません。

こんな症状はありませんか?
  • 排尿時に痛みや不快感がある
  • 頻尿
  • 尿に血が混じっている

一般的な治療法は抗生物質を用いた薬物療法で、数日間の服用で済むことも多いです。抗生物質と膀胱炎の原因となっている菌には相性があるため、必ず泌尿器科で検査を行い、適切な抗生物質が処方されるようにしましょう。
また、排尿は膀胱・尿道にとどまっている菌を洗い流す役割もあります。

  • 水分補給を多めに行う
  • 尿意を我慢しない
  • 性交後は必ず排尿を行う など

膀胱付近のデリケートゾーンを清潔に保つようにするのがポイントです。

GSM

GSMとは外陰部・膣部が萎縮してしまうことによる異常や不快感の総称です。閉経後に女性ホルモンの量が低下してしまうことによって起こり、別名「閉経後泌尿生殖器症候群」とも呼ばれています。

こんな症状はありませんか?
  • 膣内が乾燥している感覚がある
  • デリケートゾーンのかゆみ、黒ずみ
  • せき、くしゃみによる頻繁な尿漏れ
  • 性交時の痛み、出血
  • 性交時に空気が入る、緩い

GSMは尿路に雑菌が入りやすくなっている状態なので、感染症のリスクも高まります。一般的な治療方法としては薬物療法のほか、女性ホルモンの補完、レーザー治療などが挙げられます。

過活動膀胱

膀胱に適度な量が溜まる前に尿意を我慢できなくなったり、尿漏れしてしまうのが過活動膀胱です。40才以上の方であれば、男女合わせて10~13%程度の方に過活動膀胱の症状がみられます。
過活動膀胱の主な特徴は下記3つです。

  • 頻尿:目安として日中に8回以上、就寝中に1~2回以上お手洗いに行くため目が覚める
  • 突然の非常に強い尿意(尿意切迫感):尿意が突然訪れ、どうしても我慢できない ※一般的には尿意を感じてから1時間程度は我慢できる方が多い
  • 突然の強い尿意による尿漏れ(切迫性尿失禁):通常の尿意の高まりよりも急激で我慢できずに尿漏れしてしまう

一般的な治療法として、薬物療法+膀胱トレーニングが用いられます。
薬物療法でよく用いられるのは抗コリン剤ですが、あくまでも対症療法です。そこで、排尿感覚を徐々に広げていく膀胱トレーニングや排尿をコントロールする骨盤底筋の筋力トレーニングをあわせて行います。

性病の種類(女性)

性病(性感染症)とは、膣を使って行う性交やそれに類似した性行為により皮膚や粘液に雑菌が付着、定着して起こる感染症のことです。
最近はSTIという呼び方が一般的になってきています。
唾液・体液・血液などが主な感染経路で症状の有無を問いません。
男性よりも女性の方が自覚症状を感じにくいので、受診のきっかけが少なく症状が重くなりやすい傾向があります。

【女性が気をつけるべき性病(性感染症)】

性器クラミジア感染症

クラミジアトラコマティスという細菌が原因で起こる感染症です。女性の場合無症状であることも多いのですが、厄介なのはクラミジアに感染するとHIVの感染リスクが3倍以上になること。
最近は特に10~20代の感染者が多く、日本全体で100万人を超えるとみられています。

こんな症状はありませんか?
  • 性行為後、2~3週間たった段階でおりものが異常に多い
  • 下腹部に痛みがある
  • 生理中でないのに出血する など

感染症のため薬物療法が一般的で妊婦の方が服用できる薬もあります。
感染のきっかけは感染者との性交を行った場合がほとんどのため、もし感染が判明したら、パートナーも要検査・要治療となるケースが多いです。

淋病

淋菌という細菌によって引き起こされる感染症で、クラミジアの次に多い性病といわれています。さらに、クラミジアとの合併症になってしまう淋菌感染者も少なくありません。
妊婦の方の感染事例もあり、赤ちゃんの健康に影響する可能性から注意が必要です。

こんな症状はありませんか?
  • おりものの量が多い
  • おりものの色が緑・黄色に近い
  • おりもの特有のにおいが強い
  • 生理中でなくても出血がある
  • 下腹部の痛み
  • 排尿時の痛み、頻尿
  • 性交時の痛み など

治療は抗生物質を用いた薬物療法が確立されています。ただし、抗生物質に対して耐性を獲得した菌も登場しているため、検査で原因菌をしっかり特定して適切な治療にのぞむことが大事です。

梅毒

梅毒トレポネーマという雑菌による感染症です。妊婦の方に感染するリスクもあり、その場合赤ちゃんの生命にかかわることもあります。

こんな症状はありませんか?
  • 全身に赤い発疹がある
  • デリケートゾーンにしこり
  • 太ももの付け根に腫れ など

治療は主に薬物療法が用いられます。飲む薬のほか、進行度合いによっては点滴によって投薬されることもあります。
また、パートナーも感染しているケース、パートナーから感染したケースも多いので、梅毒と判断されたら、パートナーの方も必ず検査を受けてください。

性器ヘルペス

HSV(単純ヘルペスウイルス)1型、2型が原因の感染症です。口にもヘルペスができることがありますが主に1型が多く、性器ヘルペスは2型が多いです。ただし、1型が原因の性器ヘルペスがないわけではありません。
感染者のうち発症するのは2割程度で発症しない方がほとんどのため、感染経路を追いづらいのが厄介です。また、発症しないまま子どもに移してしまったことが原因で小児期にヘルペスになってしまうケースもあります。

こんな症状はありませんか?
  • デリケートゾーンに水ぶくれがある
  • デリケートゾーンの違和感、痛み
  • 排尿しにくい
  • 発熱

治療自体は長くても10日程度が一般的で内服薬と軟膏を用いた治療が行われます。ただし、感染経験がある場合、神経節に感染、潜伏し、体調次第で再発することも少なくありません。再発頻度次第で長期間の投薬など、治療期間が長引く可能性もご認識ください。健康で菌に対する抵抗力が強いときは再発しにくいので、あわせて生活習慣の見直しもおすすめします。

性器カンジタ

カンジダ属に分類されるカビが膣内で増えることによって起こります。カンジダ属の菌は膣内に一定程度いる常在菌ですが、性行為などが原因で増えたり繁殖しやすい環境になると性器カンジダ症を発症します。
特に糖尿病などで服用している薬がある方や感染症に対する抵抗力が落ちている方、妊婦の方などは繁殖しやすいタイミングなので注意が必要です。

こんな症状はありませんか?
  • デリケートゾーンのかゆみ、発疹、炎症
  • おりものの粘度が高い、固い、においが強い
  • 排尿時に痛みがある
  • 性交時に痛みを伴う など

治療は抗菌薬の服用や抗菌クリーム、膣剤を使用するのが一般的です。また、デリケートゾーンを清潔に保つようにするのが悪化を抑える基本のポイントとなります。

広島の泌尿器科「みんなの泌尿器科クリニック」は女性の泌尿器科、小児向け泌尿器科もあります。
お越しいただきやすい、ご相談いただきやすい雰囲気で検査・治療に専念していただけるのが特徴です。
特に受診ハードルが高いというイメージのある性病(性感染症)についてもご遠慮なくご相談ください。

泌尿器科で女性からよくあるご質問

デリケートで相談しにくいのですが、どのような検査をしますか?

初診でも再診でも、基本的には尿検査をお願いしています。
その後、超音波検査やレントゲン撮影など診断に必要な検査を実施します。
女性に合う検査や治療を行いますので、まずはご相談ください。

頻尿とはどういう状態でしょうか?

朝起きてから夜寝るまでに8回以上、夜間2回以上排尿があることが、頻尿の目安です。
ただし、水分を多く摂取している場合は除きます。
頻尿の原因は過活動膀胱や残尿、多尿、腫瘍、心因性など多岐にわたります。
急に我慢できないほどの尿意がある、尿失禁があるなど、日常生活に支障が出る場合は治療することをおすすめします。

尿漏れパットが欠かせません。年齢を重ねると仕方がないことでしょうか?

尿漏れは、加齢によるものと諦める必要はなく、薬やトレーニングで改善を目指すことができます。
くしゃみや咳をしたとき、または重いものを持ち上げた時などに漏れる「腹圧性尿失禁」は、出産を経験した方によく見られます。
腹圧性尿失禁の場合、骨盤底筋のトレーニングや干渉低周波を用いた治療、薬物療法などで治療していきます。
軽度の方であれば、3週間ほどの骨盤底筋トレーニングで改善が見られます。
過活動膀胱のうち尿意を感じてからトイレまで間に合わずに漏らしてしまう「切迫性尿失禁」の方も少なくありません。
切迫性尿失禁は、薬物療法や膀胱トレーニング、骨盤底筋トレーニングで治療していきます。
腹圧性尿失禁・切迫性尿失禁の混合型のケースもあり、それぞれに合った治療方法を提案します。

性器出血とは異なる出血がある場合、どこから出血していますか?病院で診てもらうべきでしょうか?

性器からではない出血の場合、尿道口にできる良性のできもの(尿道カルンケル)であるケースが多いでしょう。
ただし、まれに尿道がんであることもあるため、念のため診察で確認することをおすすめします。

広島市で女性も行きやすいおすすめの泌尿器科クリニックをお探しなら

泌尿器科というと「男性が行くもの」「男性の患者が多い」というイメージを持っている女性の方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際には腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱、急性膀胱炎、GSM(閉経後泌尿生殖器症候群)、過活動膀胱など、泌尿器科の病気に悩む女性も多く存在しています。
泌尿器科は男性のみならず、女性の悩みも相談できる診療科です。
広島市で女性ならではの泌尿器トラブルでお困りなら、ぜひみんなの泌尿器科クリニックへお問い合わせください。
みんなの泌尿器科クリニックでは、気軽に受診・通院できる地域のかかりつけ医を目指し、患者様一人ひとりに寄り添いながら丁寧な検査や治療を実施しています。
排尿トラブルはもちろん、性病(性感染症)やデリケートゾーンに関するご相談、検査・治療も可能です。
小児からお年寄り、男性・女性関係なくどなたでも気兼ねなく相談できるアットホームな雰囲気のクリニックなので、人に話しにくい症状でもまずはお気軽にご相談ください。